甲斐八幡北村文書H-1「譲渡申地取証文之事」(架蔵)

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翻刻

譲渡申地所證文之事
字西高わらひ
一、山畑弐畝弐分   分米八升三合  兵左衛門分
同所
一、山畑壱三畝廿四分 同壱斗五升弐合 同人分
同
一、山畑六畝四分   同弐斗四升五合 同人分
同
一、山畑七畝八分   同弐斗九升壱合 同人分
同
一、山畑四畝三分   同壱斗六升四合 平左衛門分
同
一、山畑弐畝分    同八升     同人分
同
一、山畑五畝四分   同弐斗五合   同人分
同
一、山畑四畝拾三分  同壱斗七升七合 丈左衛門分
同
一、山畑九分     同壱升弐合   同人分
同
一、山畑壱畝廿四分  同七升四合   周兵衛 茂
同
一、山畑壱畝廿四分  同七升四合   万右衛門分
同
一、山畑廿四分    同三升弐合   同人分
同
一、山畑六分     同弐斗四升   同人分
同
一、山畑弐畝八分   同九升壱合 平右衛門分 藤
同
一、山畑弐畝廿分   同壱斗五合   藤左衛門分
同
一、山畑弐畝七分   同八升九合   勘兵衛分
同
一、山畑五畝廿四分  同弐斗三升弐合 彦右衛門分
同
一、見付畑弐畝拾弐分 同七升弐合   久兵衛分
同
一、山畑弐畝分    同八升     久左衛門分
同
一、見付畑弐畝拾五分 同七升五合   久兵衛分
合(あわせて)、山畑反別(たんべつ)五反八畝拾八分
合、見付畑 四畝廿七分
右弐口
 合、六反三畝拾五分
    此代甲金壱両也、
右者、山梨郡八幡南村分内ニ而我等共所持
罷在(まかりあり)候畑ニ御座候處(処)、當亥御年貢上納金ニ
差(さし)詰(つま)り申候ニ付、書面之地、代金甲金壱両、慥ニ
請取、前書(まえがき)之地所不残相渡申処、実正
明白也、然ル処右地代金を以御年貢
皆済仕候上者(は)、未進其(その)外先(さきの)状書入(かきいれ)等ニも
不致置候(そうら)得者(えば)、村中者(は)不(ず)及(およば)申(もうすに)、脇々誰人
ニ(に)而茂(ても)差構(さしかまい)申者(もの)無御座候、万一六ヶ敷(むつかしき)義出来(しゅったい)候(そうら)
ハヽ(わば)、加判之者(もの)一同引請、急度埒明、貴殿江(へ)
少も御世話御損毛等相掛申間敷(もうすまじく)候、
右畑之儀、荒廃藪地同様之侭(まま)ニ(に)而(て)
今般(こんぱん)譲渡申候儀ニ付、開発地普請等ニ
多分之諸入用(いりよう)も可相掛、何共御骨折(ほねおり)之
儀ニ付、永々御所持被レ成候共、又々餘人(よにん)江(へ)
御譲被成候共、御勝手次第御支配可
成候、向後(こうご)我等共一同決而(けっして)執心相掛り
申間敷(もうすまじく)候、若又(もしまた)我等共ゟ(より)請戻(うけもどし)之義
御無心(むしん)申候節(せつ)者(は)、地代金并(ならびに)今般(こんぱん)之開発
地普請入用金共不レ残調達返済之上ニ
無(なく)之(これ)而者(ては)、御無心(むしん)申上(もうしあげ)間敷(まじく)候、尤我等共ゟ不実
を構(かまえ)、縦令(たとい)地味立直り候共、無筋(むすじ)ニ請戻し
申(もうす)間敷(まじく)候、貴殿御差圖(さしず)次第少も違(い)変(へん)
不仕候、為後日地所譲手形一同連印を以
入置申処、如件、 
         山梨郡西保中村
 嘉永四亥年      譲渡人
  十二月廿五日		兵左衛門(印)
平左衛門(印)
				丈左衛門(印)
				周兵衛(印)
				万右衛門
				平右衛門(印)
				久左衛門(印)
				彦右衛門(印)
				藤左衛門(印)
				勘兵衛(印)
				久兵衛(印)
			引請人
				吉兵衛(印)
		同郡
		 八幡北村
			傳右衛門殿

	

現代語訳

 譲り渡します土地の証文のこと
(略)
合計、山畑5反8畝18歩
合計、見付畑4畝27歩
右の二件、合計、6反3畝15歩
右は、(甲斐国)山梨郡八幡南村の内で私どもが所持しております畑でございますが、今年の亥年の年貢上納金(支払い)に窮しましたので、書面の土地を(売って)代金甲金(甲州金)の1両をたしかに受け取り、前に書いた土地を残らず(あなたへ)渡しますこと、間違いありません。ところで、右の土地の代金にて年貢を皆済しましたので、未進などのことや、以前の証文に書き入れて(質に入って)いるなどのこともありませんので、村の者は言うまでもなく、脇(よそ)の誰であっても干渉する者はございません。万が一面倒なことが起こったら、加判の者が全て引き受けて、かならず解決し、あなたへ少しもお世話をかけたり迷惑をかけたりしません。右の畑は荒廃して藪地同様のままであって、今回譲渡しますことで開発の普請などに多くの出費がかかるでしょうし、なんともご苦労なことですので、永く所持なされるか、または別の人へお譲りなされるか、(あなたの)勝手次第に差配してください。今後私ども一同は決して気にかけません。もし又私どもから、買い戻したいとのことをお願いする時には、土地の代金および今回の開発普請の出費を残らず調達して返済した上でなくては、お願いは申しません。もっとも私どもから不実なことをし、たとえ土地の地味が戻ったとしても無理に買い戻しはしません。あなたと指図次第に(従って)すこしも違反しません。後日のため、土地の譲り手形に一同の連印をして提出しますこと、この通りです。
(略)
	

大意

山梨郡西保中村の百姓11人(兵左衛門ほか)が、同村の吉兵衛を請人に立てて、所持している同村の「西高わらび」の畑を、同郡八幡北村の伝右衛門へ売り渡している。畑地はいずれも荒廃しており、買い取った伝右衛門は開発して耕地として活用する予定のようである。開発された後に無理に買い戻すようなことはしないと誓約している。売買に際して、支払いが甲金(甲州金)でなされていることも注目される。甲州金は甲斐のみで流通した独自の金貨。